「なんで大家さんのための費用(保証委託料)を、入居者である私が払わないといけないの?」
見積もりを見て、こう感じたことはありませんか?
結論から言うと、その感覚は正しいです。かなり理不尽です。
ただし、現実の賃貸市場では「入居者負担」が慣習として定着してしまいました。
そこで本記事では、次の4点を表と裏を含めて整理します。
- なぜ「借主負担」が当たり前になったのか(構造)
- 保証委託料を下げる/痛手を減らす交渉手順(現実ライン)
- 一度払ったお金は返金されるのか(結論と例外)
- 保証料0円に近づける「物件選び」という最短ルート
特に交渉パートは、不動産会社・管理会社・保証会社の利益構造を理解している人ほど通りやすいです。契約前に必ず押さえてください。
Contents
そもそも「初回保証委託料」とは?誰のための費用?
初回保証委託料(初回保証料)とは、賃貸契約のタイミングで家賃保証会社へ支払う費用です。金額は保証会社・プラン・物件条件で異なりますが、一般的には家賃の50%〜100%が目安になります。
ポイント:この費用は「あなたが得をするため」ではなく、万が一滞納が起きた時に、保証会社が大家さんへ家賃を立て替えるための原資です。
つまり、構造としては「貸主(大家さん)や管理会社の家賃回収リスク」を下げる仕組みです。入居者側のメリットは、現実的には「連帯保証人が不要になる」「審査に通れば借りられる」程度で、費用対効果に納得しづらいのは当然です。
「仕組み」を知らないと損する理由|交渉の余地が生まれる
保証委託料が理不尽に感じる最大の理由は、支払うのは入居者なのに、得をするのが貸主側だからです。
- 「誰が得しているか」を理解している(話が早い)
- 「今日決める」など意思表示ができる(優先順位が上がる)
- 代替案(物件変更・保証会社変更)を持っている(交渉力が上がる)
図解:保証会社の利益構造(ざっくり)
【図解】お金とメリットの流れ
- ① 入居者 → 保証会社へ「初回保証委託料」を支払う
- ② (滞納があれば)保証会社 → 大家へ家賃を立替える
- ③ 保証会社 → 入居者へ督促・回収(回収できれば利益が残る)
- ④ 物件・会社によっては、不動産会社に紹介料等が発生することがある
要するに、入居者が入口のコストを負担し、貸主側は家賃回収の安定を得る構図です。
なぜ入居者に払わせるのが「常識」になったのか
以前は「連帯保証人」で成立していた物件も多かったのですが、保証人を用意できない人が増えたことや、運用が煩雑になったことから、保証会社が標準化しました。
本来は貸主側のリスク対策費ですが、日本の賃貸市場は長く貸主優位で回ってきました。その結果、いつの間にか「住みたいなら、保証料は借主側で」が慣習として固定化した、というのが実態です。
主要保証会社の「初回保証委託料」ざっくり比較(目安)
ここは「正確な料金表」ではなく、あくまで感覚を掴むための目安です(実際は物件・管理会社・プランで変動します)。
| 保証会社 | 初回保証委託料 | 更新料 | 特徴(傾向) |
|---|---|---|---|
| 日本セーフティー | 家賃50%〜 | 10,000円/年 | 審査は中間、督促は強めと言われやすい |
| 全保連 | 家賃50%〜100% | 10,000円/年 | 審査が早いケースが多い |
| Casa | 家賃50%前後 | 10,000円/年 | 全国対応、取り扱いが多い |
| JID | 家賃50%〜 | 無し or 10,000円 | 福祉系・高齢者等の取り扱いが多い印象 |
| ジェイリース | 家賃40%〜50% | 10,000円/年 | エリアにより強い地域がある |
実務上、どの保証会社になるかは、入居者よりも「管理会社・オーナー側の都合」で決まることが多いです。
保証委託料を「安くする」現実的な交渉術(やり方だけ)
強制加入に見えても、物件と相手次第で調整できる余地はあります。ポイントは「揉める」ではなく、相手の損を最小化しながら自分の負担を下げることです。
交渉が通りやすい3パターン
- 初期費用がネックで契約が止まりそう(=相手も逃したくない)
- 同等条件の別物件がある(=代替案がある)
- 今日決める意思がある(=優先順位が上がる)
切り出しテンプレ(角が立ちにくい言い方)
「保証会社の加入は問題ありません。ただ初期費用が厳しくて…。保証料(保証委託料)だけでも少し調整できませんか? 調整してもらえるなら今日ここで決めます。」
もう一段強いカード:保証会社の変更提案
管理会社が複数の保証会社を扱っている場合、初回が低い会社・更新が軽い会社へ変更できるケースがあります。
言い方:「初期費用が厳しいので、初回保証料が低い会社のプランがあればそちらでお願いできませんか?」
【実録】現場で多い「成功パターン」3つ
成功例1:担当者裁量で数千円〜1万円の減額
- 初回保証委託料:30,000円 → 25,000円
- 切り出し:「初期費用が厳しいので、保証料だけでも調整できますか?」
成功例2:管理会社と交渉し「別の保証会社」に変更
- A社:初回50% → B社:初回30% など
- 条件:管理会社が複数社と提携している物件
成功例3:そもそも“保証料負担が軽い物件”へ乗り換え
交渉よりも、最初から「初期費用が安い物件」へ寄せる方が、結果として早いこともあります。
保証会社を変更できる物件/できない物件(見極め)
- 管理会社が複数の保証会社と提携している
- 担当者が柔軟(提案型)
- オーナーが厳格に縛っていない
ほぼ変更できない
- 新築・築浅でオーナーの意向が強い
- 大手管理の統一スキーム物件
- ハイリスク層向けに制度設計された物件
ここを見誤ると、交渉しても動かない物件に時間を使ってしまいます。まずは「変更余地があるか」を確認するのが最短です。
交渉が面倒なら「保証料負担が軽い物件」へ寄せるのが最短
「交渉が苦手」「時間がない」「とにかく初期費用を下げたい」人は、そもそも保証料が軽い/不要に近い条件の物件へ寄せる方が合理的です。
初期費用を抑えたいなら:物件選びで勝つ
- 初回保証料が低い会社に変更できる物件を狙う
- 更新料なし/月額型など、支払い構造が軽い物件を狙う
- 固定費を減らしたいなら、更新料の有無までセットで比較する
払ってしまった保証委託料は返金される?(結論)
結論:入居(保証開始)後は、原則1円も返ってきません。
返金されない理由
保証料は「保証が効いている状態」への対価です。契約が開始した時点で費用が成立するため、途中解約や早期退去でも返金されないのが基本です。
返金される可能性があるのは「保証開始前」のキャンセル
まだ保証が開始していない段階(入居前・保証開始日前)なら、返金の余地が残るケースがあります。もし不動産会社が渋る場合は、次のように伝えると話が早いです。
「保証開始前(入居前)なので、サービス未提供ですよね。返金処理(または保証会社への返金申請)をお願いします。」
- 「入居前」「保証開始前」を明確に伝える
- 入居日(保証開始日)を必ず確認する
- 請求書・領収・振込履歴を残す(事務ミス対策)
保証委託料に関するよくある質問(FAQ)
- Q. 保証委託料はいつ支払うの?
- A. 多くは契約手続きの段階(入居前)で請求されます。入居日(保証開始日)を過ぎると返金不可になりやすいので日付確認は必須です。
- Q. 分割払い(カード払い)はできる?
- A. 会社・物件により対応が異なります。可能な場合もあるため、担当者に「カード払いは可能ですか?」と確認してください。
- Q. 連帯保証人がいれば保証会社は不要?
- A. 物件ルール次第です。「保証人+保証会社」の二重要求もあり、入居者側で排除できないケースがあります。
- Q. 保証会社を使わずに借りる方法は?
- A. 一部の物件・制度・運営形態では保証会社が不要なケースもあります。現実的には「物件選び」で解決するのが早いです。
まとめ:理不尽コストは「交渉」か「物件選び」で減らせる
- 保証委託料は本質的に貸主側のリスク対策費(ただし現実は入居者負担が多い)
- 初期費用がネックなら、保証料の調整や保証会社変更を相談する価値がある
- 交渉が苦手なら、更新料まで含めて“支払い構造が軽い物件”へ寄せるのが最短
- 返金は「保証開始前」だけが勝負(開始後は原則返らない)
あわせて読みたい(保証料クラスター)