賃貸の緊急連絡先とは?審査への影響と選び方・いないときの対処法を業界15年が解説
賃貸物件を契約する際、多くのケースで賃貸保証会社を利用することが求められます。賃貸保証会社は、入居者が家賃を滞納した際に、代わりに家賃を支払うことでオーナーのリスクを軽減する役割を担っています。
この保証会社の審査において、「緊急連絡先の提出」が必要とされることがありますが、
「なぜ緊急連絡先が必要なのか?」
「審査にどこまで影響するのか?」
「親や家族以外でもいいの?」
「そもそも頼める人がいない…」
といった不安や疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、賃貸保証会社が緊急連絡先を求める理由や、その審査への影響、そして緊急連絡先がいない場合の現実的な対策まで、業界歴15年以上の目線でわかりやすく解説します。
当記事の信頼性
ここからは、「緊急連絡先は何を見られているのか?」「どこまで審査に影響するのか?」を、具体的に見ていきましょう。
Contents
賃貸保証会社とは?まずは仕組みをおさらい
賃貸保証会社の基本的な役割
賃貸保証会社とは、入居者が家賃を滞納した際に、オーナーに代わって家賃を立て替える会社のことです。オーナーにとっては、家賃未払いのリスクを軽減する「保険」のような役割を果たします。
一方で入居者側は、連帯保証人を立てなくても契約できるというメリットがあります。
▼保証会社の仕組みを詳しく知りたい方は、こちらも参考になります。
保証会社の必要性が増えている背景
近年、賃貸保証会社の利用が急増している背景には、次のような社会的な変化があります。
保証会社が増えた主な理由
- 核家族化が進み、親・親族に連帯保証人を頼みにくくなった
- オーナー側が「家賃滞納リスク」を可視化・管理しやすくなった
- 管理会社側も、回収業務を保証会社に任せられるため効率化が進んだ
連帯保証人との違い
従来は、賃貸契約において連帯保証人を立てることが一般的でした。連帯保証人は、入居者が家賃を支払えなくなった場合に、代わりに支払う法的な義務を負います。
メモ:2020年4月の法改正も大きな転換点
現在は、「連帯保証人を付けない前提」で契約を進める保証会社がほとんどです。
これは2020年4月の民法改正で、個人保証に上限や説明義務が課されるようになり、オーナー側・保証会社側が「保証人より保証会社」へシフトしたことが大きく影響しています。
一方で保証会社は、入居者が家賃を滞納した場合に一時的に家賃を立て替え、あとから入居者や連帯保証人に請求する仕組みです。
▼保証会社からの回収・督促の実務について詳しく知りたい場合はこちら。
賃貸保証会社が求める「緊急連絡先」とは?

緊急連絡先の定義
賃貸保証会社が求める緊急連絡先とは、入居者本人と連絡が取れなくなった場合や、緊急トラブル時に連絡を取るための第三者の連絡先です。
一般的には、
- 親・兄弟・子どもなどの親族
- 勤務先の同僚・上司
- 長年付き合いのある友人
といった「入居者の状況をある程度把握している人」が選ばれます。
注意ポイント
保証会社によって「緊急連絡先として認める条件」はかなり違います。
- 親・兄弟・子など“身内”しかNGの会社
- 友人・職場の方でもOKな会社
物件ごとに利用する保証会社が違うので、必ず窓口の不動産会社に「どこまでOKか?」を確認しておきましょう。
緊急連絡先と連帯保証人の違い
ここは誤解が多いところですが、緊急連絡先と連帯保証人はまったく別物です。
- 連帯保証人:家賃などの支払い義務を一緒に負う人
- 緊急連絡先:あくまで「連絡を取るための窓口」。支払義務はない
保証会社が緊急連絡先を求める本当の理由
保証会社が緊急連絡先を求める主な理由は次の通りです。
- 家賃滞納が発生した際に、入居者本人と連絡が取れない場合の補助ルートとして
- 入居者が事故・病気などで連絡不能になった場合の情報確認先として
- 長期入院・死亡・夜逃げのような「緊急事態」のときに、家財や部屋の扱いについて相談できる窓口として
▼緊急連絡先に電話が入るケースだけを詳しく知りたい方は、こちらも参考になります。
緊急連絡先が審査に与える影響とは?

基本スタンス:緊急連絡先の影響は限定的
まず前提として、保証会社の審査は「入居者本人の属性」がメインです。
審査で一番重視されるポイント
- 勤務先・雇用形態・勤続年数
- 収入額と家賃のバランス
- 過去の家賃滞納や金融事故(クレジット・ローンなど)
緊急連絡先はあくまで「補助的な情報」であり、それ単体で審査が決まるケースは多くありません。
ただし“影響が出る”ケースもある
とはいえ、次のような場合には、緊急連絡先が審査に影響することもあります。
注意ポイント:審査に響くパターン
- 緊急連絡先に電話した際、「そんなの聞いてない」「本人とは疎遠」と言われてしまう
- 緊急連絡先に指定された人が、過去に同じ保証会社で家賃滞納をしている
- 同じ人が、あまりに多くの契約の緊急連絡先になっている(内部的に履歴でわかる)
これらのケースでは、保証会社側から「情報の信頼性に欠ける」と判断され、審査が厳しくなる・NGになることがあります。
事前に了承を取らずに書くのはNG
緊急連絡先の人に、事前の了承を取らずに勝手に記載してしまうと、確認電話が入ったときにトラブルになりやすいです。
最低限やっておきたい一言
- 「賃貸契約で緊急連絡先が必要になったので、電話番号を書いてもいい?」
- 「お金を払ってもらう話ではなく、連絡が取れない時に連絡がいくだけの役割だよ」
この程度でも良いので、一言だけでも説明して了承をもらっておくと、審査がスムーズになります。[/p]
緊急連絡先がいない場合の対策

① まずは「ハードルを下げて」お願いしてみる
意外と多いのが、「迷惑をかけたくないから言い出せないだけ」というケースです。
そのうえで、次のような伝え方をすると協力してもらいやすくなります。
- 「保証人ではなく、あくまで“連絡先”としてだけ名前を貸してほしい」
- 「家賃を払ってもらう話では一切ない」
- 「万が一、保証会社から電話があったら『今連絡を取ってみます』ぐらいだけ対応してもらえれば大丈夫」
② 緊急連絡先がどうしても用意できないとき
どうしても身内も友人も頼れない、という場合は次のような方向性を検討します。
- 審査ハードルが比較的低い保証会社・物件を選ぶ
- 「保証会社加入が不要な物件」を優先して探す
▼保証会社変更・選び方についてはこちらも参考になります。
③ 保証会社・物件の選び方も戦略のひとつ
独立系の保証会社や、ビレッジハウスのように「独自審査」で対応しているブランドでは、一般的な保証会社よりも柔軟に審査してくれるケースもあります。
先ほどの結論ブロックでも触れましたが、
- 過去に家賃滞納がある
- カード事故・債務整理歴がある
- 収入が不安定・転職直後
- 緊急連絡先を頼める人がほとんどいない
といった方は、「保証会社から見たら審査に弱い層」に入ります。
この場合は、物件探しの段階で「審査に優しい選択肢」を混ぜておく方が、結果的にスムーズに決まるパターンが多いです。
賃貸保証会社の審査で重視されるポイント

入居者本人の信用情報と収入が最重要
賃貸保証会社の審査において、最も重視されるのは次の2つです。
- 信用情報(クレジットカード・ローンの支払い履歴)
- 収入の安定性(勤続年数・雇用形態・収入額)
一般的には、「家賃=手取り月収の30%前後まで」が安心ラインとされています。
これを大きく超えると、審査で不利になりやすいです。
審査の際に確認される主な書類
よく求められる書類
- 身分証明書(運転免許証・マイナンバーカード・保険証・パスポートなど)
- 収入証明書(給与明細・源泉徴収票・確定申告書など)
- 在職証明書や社員証(雇用形態を確認するため)
- 場合によっては、過去の賃貸契約でのトラブル有無
追加書類を求められるケースもある
最初の審査は、本人確認書類だけで進める保証会社がほとんどです。
しかし、収入や勤務先に不安要素がある場合は、上記のような追加書類を求められることもよくあります。
▼保証会社全体の特徴や種類を整理した記事はこちら。
緊急連絡先に関するよくある質問
Q. 緊急連絡先には電話が必ずかかってきますか?
必ずしも電話が入るわけではありません。
現場感覚としては、
- 申込内容に不明点がある場合の確認
- 入居者本人につながらない場合の状況確認
といったタイミングで、必要に応じて電話が入る程度です。
Q. 緊急連絡先にお金の支払い義務はありますか?
ありません。あくまで「連絡が取れないときの窓口」です。
支払義務が発生するのは連帯保証人として契約した場合のみです。
Q. 緊急連絡先を記載しないとどうなりますか?
多くの保証会社では、緊急連絡先の未記入=そもそも審査に回せないという運用が一般的です。
「緊急連絡先が書けない=トラブル時の連絡経路がない」とみなされてしまうためです。
Q. 緊急連絡先がいなくて本当に困っている場合は?
その場合は、
- 保証会社の条件が比較的緩い物件を選ぶ
- ビレッジハウスなど、保証会社不要で入居できる物件も視野に入れる
といった「物件選びそのものを調整する」ことも現実的な選択肢になります。
まとめ:緊急連絡先は“連絡役”と割り切り、選び方と物件選びを工夫する

緊急連絡先を選ぶときのポイント
- 親族・家族がいれば、まずはそこから検討する
- 難しければ、長く付き合いのある友人や職場の人も候補になる
- 事前に役割を説明し、「お金の話ではない」ことを伝えて了承を得る
審査に通るために意識しておきたいこと
- 緊急連絡先単体よりも、「本人の収入・信用情報」が圧倒的に重要
- 家賃と収入のバランス(目安:家賃は手取りの3割以内)を意識する
- 過去の滞納や事故歴がある場合は、保証会社・物件選びも戦略的に行う
それでも不安な場合は?
どうしても審査に不安がある場合や、過去の滞納・金融事故がある場合は、
といった記事も合わせて確認しておくと、事前に心構えができて安心です。
また、どうしても審査が不安な場合は、最初から「審査に通りやすい物件」を候補に入れておくことも、一つの立派な戦略です。
\ 保証会社の審査が不安な方はチェック /
あなたの状況に合った選択肢を取りながら、無理のない形で新しいお部屋探しを進めていきましょう。
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物件・保証会社・収入状況を整理して、“通りやすい選択肢” をご提案します。
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審査に弱い方向け|入居しやすい物件まとめ表
| 物件タイプ | 通りやすさ | 家賃 | 特徴 | 公式 |
|---|---|---|---|---|
| ビレッジハウス | ◎(保証会社不要) | かなり安い | 過去に落ちた人でもチャンスあり |
▶ 公式(家賃20,000円台〜) |
| UR賃貸 | ○(保証会社不要) | 普通〜やや高め | 礼金なし・更新料なし | ▶ 詳細 |
| 自治体系住宅 | ○〜△(収入基準あり) | 安い | 長期的に安定して住みやすい | ▶ 解説 |
※地域により審査基準は異なります。詳細は各公式ページでご確認ください。
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