これって入居者には損しかないんじゃ…?メリットなんてあるの?
「連帯保証人がいればいいじゃないか」「無駄な出費だ」
そう感じる方も多いと思います。しかし、今や首都圏を中心に**賃貸物件の約8割以上**が保証会社への加入を必須としています。
今回は、入居者にとって「ただの出費」と思われがちな**賃貸保証会社の本当のメリット・デメリット**を、業界の裏事情も交えて徹底解説します。
- 筆者:賃貸保証業界歴15年(現役)
- 実績:数万件の審査と契約に携わる
- 目的:損をしないための正しい知識を提供
Contents
【結論】賃貸保証会社は入居者の「信用」を買うシステム
まず前提として、賃貸保証会社とは**「あなたが家賃を払えなくなった時、一時的に大家さんに立て替え払いをする会社」**です。
大家さんにとっては「家賃滞納リスクがゼロになる」という絶大なメリットがありますが、入居者にとってはどうでしょうか?
入居者が賃貸保証会社を利用する3つのメリット
「お金を取られるだけ」と思われがちですが、もし保証会社というシステムがなければ、部屋を借りる難易度は今より格段に高くなっていたはずです。
1. 「連帯保証人」をお願いする必要がない
これが最大のメリットです。
昔は、親兄弟や親戚に頭を下げて、実印を押してもらい、印鑑証明書を用意してもらう…という「連帯保証人」が必須でした。
- 親が高齢で年金暮らしのため頼めない
- 親族と疎遠で頼める人がいない
- そもそも人に頭を下げたくない
現代ではこのようなケースが増えています。保証会社を利用すれば、**「お金(保証料)」で「保証人」の代わりを解決できる**ため、誰にも迷惑をかけずに部屋を借りることが可能です。
2. 入居審査に通りやすくなる(敷居が下がる)
大家さんの本音は「家賃滞納が怖い」です。
しかし、保証会社が入ることで「滞納があっても保証会社が払ってくれる」という安心感が生まれます。
保証会社という「後ろ盾」があるおかげで、大家さんは入居を許可してくれるのです。
3. 敷金・礼金0円物件が増える要因に
少し裏側の話になりますが、保証会社が普及したことで「敷金(担保)」を預かる必要性が薄れました。
その結果、**初期費用が安い「敷金0・礼金0(ゼロゼロ物件)」**が市場に増え、入居者が初期費用を抑えて引っ越せるケースが増加しています。
加入前に知っておくべき!賃貸保証会社のデメリット
もちろん、メリットばかりではありません。
契約してから「こんなはずじゃなかった」とならないよう、デメリットもしっかり把握しておきましょう。
1. 初期費用とランニングコストがかかる
当然ですが、タダではありません。
一般的な費用の目安
- 初回保証料:家賃総額の50%〜100%(契約時)
- 更新料(年間保証料):1年ごとに1万円、または家賃の10%
長く住めば住むほど、1年または2年ごとの更新料が発生するため、トータルの住居費は上がります。
2. 滞納時の督促は「プロ」が対応する
「大家さんにちょっと待ってもらう」という甘えは通用しません。
家賃が引き落とせなかった場合、保証会社は即座に大家さんへ立替え払いを行い、その後**「入居者へ請求(督促)」**を行います。
大手保証会社はコンプライアンスを守りますが、それでも事務的かつ厳格に請求業務を行います。また、信販系(クレジットカード系)の保証会社で滞納すると、**信用情報(いわゆるブラックリスト)に傷がつく**リスクもあります。
3. 入居者が保証会社を選べないことが多い
「A社は高いから、安いB社を使いたい」
残念ながら、これは基本的にできません。物件ごとに「指定の保証会社」が決まっているからです。
【注意】「保証会社+連帯保証人」のダブルパンチも
デメリットの中でも特に理不尽に感じるのがこれです。
保証会社にお金を払って加入するのに、さらに「連帯保証人も立ててください」と言われるケースが稀にあります。
- 入居者の収入が基準ギリギリの場合
- 大家さんが極めて慎重な性格の場合
- 家賃が高額な物件の場合
この場合、メリットである「保証人不要」が消え、費用負担だけが残ることになります。納得がいかない場合は、他の物件を検討するのも一つの手です。
まとめ:メリット・デメリットを理解して賢いお部屋探しを
賃貸保証会社は、入居者にとって「痛い出費」であることは間違いありません。しかし、それによって「借りやすさ」や「保証人探しの手間」をお金で解決できているのも事実です。
- メリット:連帯保証人が不要。審査に通りやすくなる。初期費用が安い物件が増えた。
- デメリット:保証料と更新料がかかる。滞納時のリスク管理がシビア。
今は「保証会社必須」がスタンダードです。
「損をする」と考えるよりも、「スムーズに入居するための必要経費」と割り切り、その分、仲介手数料や礼金の交渉に力を入れるのが賢いお部屋探しのコツですよ!
次に読むべき関連記事(保証会社をもっと深く知りたい方向け)
メリット・デメリットを理解したら、次は「どの保証会社が自分に合うか」を知ることが大切です。以下の記事でさらに理解が深まります。
家賃保証会社は必要?あなたの状況で判断するチェックリスト
- ✔ 連帯保証人を頼める人がいない
- ✔ 勤務先が安定していない(転職直後・自営業・無職など)
- ✔ 家賃が手取りの35%を超える
- ✔ 過去に支払い遅れがある(携帯・クレカ・家賃など)
- ✔ フリーランスで収入が不安定
1つでも当てはまる場合は、保証会社の利用が必須になるケースが多いです。審査ポイントを理解しておくと安心です。
【実務15年以上】家賃保証のプロからのアドバイス
家賃保証会社は「入居者のための保険」ではなく、あくまで大家さんのリスクを減らす仕組みです。そのため、会社ごとに審査基準や督促方針が大きく異なります。
特に、同じ属性でも「通る保証会社」と「落ちる保証会社」が分かれることは珍しくありません。あなたの状況に合った会社選びがもっとも重要です。
この記事の内容を参考に、自分に合う保証会社や審査ポイントを整理しておくと、スムーズに契約が進みます。
審査が不安な方へ(プロが個別にサポートします)
「どの保証会社が一番通りやすい?」「今の状況で審査は大丈夫?」など、保証会社の相談は人によって答えが違います。
私は保証会社で15年以上勤務し、審査・督促・SVを経験しています。あなたの状況を整理して、最適な保証会社選びと“通すための戦略”を具体的にお伝えします。